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社労士の労務管理アドバイスVol.4

皆さん、こんにちは。社会保険労務士の濱﨑です。

 

今、新型コロナウィルスのニュースで持ち切りですね。

ということで、今回の監督署ネタは、こうした病気にまつわるお話です。

 

例年冬になると必ず出てくる病気といえば季節性インフルエンザでしたが、

数年前から新型インフルエンザやノロウイルス、SARSといった

新手の病気が出てくるようになりました。

 

老人ホームや保育園では、こうした病気が蔓延すると重篤な被害が出るため、

細心の注意を払っていますが、私が監督署にいたとき、こんな相談に来た従業員がいました。

 

「5歳の息子がノロウイルスにかかって、嫁さんと看病で大変だったんだ。

せっかく治ったから今日出勤したら、店長に来るなと言われたんだけど、納得がいかねぇ」

「俺?全くかからなかったよ。見てのとおり」

「職業は、飲食店の板前だ」

「就業規則?見たこともないよ。第一、出勤しないと給料入ってこないし。

病気にもなっていないのに、出勤停止で無給なんて損害賠償もんだっ!」

 

ノロウイルスの感染力はかなり強いことで知られています。

店長の心配も最もです。

ちなみに、相談対応した者は翌日からノロで数日欠席しました。

 

そこのお店のお客様は大丈夫だったのでしょうか?

特に連絡はありませんでしたが、飲食店に限らず考えておかなければならない課題です。

皆さんの会社でこのような状況になったら、どのように対処するか

明確に決まっているでしょうか?

そもそも、就業規則等に明記されていますか?

 

実は、就業制限できる病気は、労働安全衛生法を始めとしたいくつもの法律に定められています。

その中に、季節性のインフルエンザやノロウイルスは入っていません。

ですから、これらの病気になっても強制的に休ませることはできません。

症状の出ていない保菌者ならなおさらです。

 

しかし、このような場合でも就業規則等に明記することで

事業者の判断で出勤させないということは可能です。

ただし、その場合は

「使用者の都合による休業」

ということで最低限の賃金を支払う必要が生じます。

 

法律で定める最低限の金額を支払うのか、

通常働いているのと同等の金額を支払うのかなどは会社のスタンスによるでしょう。

 

病気になった本人を守るだけでなく、社内に蔓延させて他の従業員の安全や生命を

脅かすことがないように配慮することは事業者としての当然の責任(安全配慮義務)です。

 

ご参考になれば幸いです。

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