社労士の労務管理アドバイス Vol.12
こんにちは。社会保険労務士の井下英誉です。
今月は私から労務管理に役立つ情報をお伝えします。
皆さんの会社では遅刻に対するペナルティーはありますか?
例えば、「遅刻3回で欠勤1日とみなす」というものです。
「いくら注意しても遅刻グセが治らない・・」「社会人としての自覚が足りない・・」
だから、ペナルティーを課せば、少しは改善してくれるだろうという親心で行っている会社も少なくないと思います。
でも、やり方を間違えると、あっという間に労働基準法違反になり会社が悪者になってしまいます。
実は、労働基準法では、「遅刻3回で欠勤1回」のペナルティーを「減給による制裁(労基法第91条)」と考えます。
そして、この減給の制裁には、以下の限度が定められています。
「その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」
おそらく、皆さんの会社の就業規則の「懲戒」規定にも同じように書かれていると思います。
でも、この文章だけではよくわからないですね。もう少し分解して考えてみましょう。
「1回」=1事由(遅刻3回で欠勤1日とみなすこと)
「1回の額」=欠勤1日とみなしたときに減額される給与額のこと
「平均賃金の1日分の半額」=ここでは給与日額の半額(日給10,000円なら5,000円)のイメージでOK(厳密には平均賃金を正しく算定します)
つまり、欠勤1日とみなしたときに減額される給与額が、日給の半額を超えたらアウトということです。
具体的には、日給10,000円の社員が3回遅刻したので、欠勤1日分として10,000円を減給したら、給与日額の半額(5,000円)を超えてしまうため、労働基準法違反になってしまうということです。
皆さんの会社は大丈夫でしょうか?
【ポイント】
就業規則が労働基準法に沿って正しく作成されていても、運用を誤ると労基法違反になってしまう例は少なくありません。
気をつけましょう!