社労士の労務管理アドバイス Vol.26
皆さん、こんにちは。社会保険労務士の濱﨑です。
突然ですが、厚生労働省が発表している有効求人倍率をご覧なったことはあるでしょうか?
求人倍率は、ハローワークに申し込まれた求人数を、求職者の数で割った値を言います。つまり、求職者1人に対して何件の求人(オファー)があるかの割合です。
求人倍率が1.0より大きければ人手不足で、1.0より小さければ人は足りている、ということになります。
毎月出されている資料によれば、2021年10月の有効求人倍率は、1,15倍でここ数カ月大きな変動はありません。
有効求人倍率が高い業界は、建設、介護、保安などで、実は、運送は2.0程度でとびぬけて高いというわけではありません。
しかし、人気が高く伸びていく業界かどうかという視点で別の資料を見てみると、運送業界は決して楽観視できない業界のひとつのようです。
何を当たり前なことを言っているんだ、と言われてしまいそうですね。
一方で、運送の中でも宅配業は、大手運輸会社が個人ドライバーや中小物流会社と積極的に契約しても、ますます市場規模の増大が見込まれており、荷物が運べなくなる危機的な状況に陥るといわれています。
そして、2024年問題。
働き方改革関連法により運送業界も2024年4月から時間外労同の上限が月平均80時間になります。
今よりも宅配業はもちろんのこと、宅配業以外の運送業も、今より人手が必要になることが容易に予想されます。
さて、みなさんはこの状況にどのように立ち向かうでしょうか?
きっとすでにいろいろな努力をされていると思います。若い人たちに運送業の魅力を知ってもらう、新規事業を展開する、荷主への新しいサービスを提供する、など。
こうした大掛かりなものができればよいですが、そこまでできないという会社もあることでしょう。その場合は、まずは今勤務している人たちの離職を防ぐことから始めてはいかがでしょうか。
離職の原因の一つに「報酬」への不満があります。
この「報酬」には賃金などの外的報酬と働き甲斐、所属や承認欲求などの内的報酬があります。外的報酬は持続性に乏しくないと不満ですが、内的報酬は満足の持続性が高いといわれています。
例えば、所属の欲求を満たすために、お揃いのユニフォームを新調したり、承認欲求を満たすために中学生の職業体験で運送の仕事の魅力を伝えるといったことができるでしょう。
現状を少しでも変えてみよう、と考えるなら身近なところから変化させる、というのはいかがでしょうか?
ご参考になれば幸いです。