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森田のワンポイント・コラム Vol.23

~未払賃金に関する臨検(労働基準監督署による実態調査)開始~

9月号のメルマガで予告した通り、今回は『未払賃金』をテーマにお話をします。

運送業や倉庫業、以前は悪意のある賃金未払事案も散見していました。

私も10年くらい前までは毎年1、2社は労基署からの協力要請を受けて是正改善に向けての支援をしていた記憶があります。

最近では悪意のある未払賃金事案ではなく、悪意の無い未払賃金事案への支援相談が多くなっています。

その理由の多くは、一部の社会保険労務士や弁護士が展開した『グレーな賃金制度』の運用によるものなのです。

代表的な理由がいくつかありますが、まずは、割増賃金の計算が正しくされていない、という理由があります。

『割増賃金の対象となる賃金の決め方の誤り=毎月固定で支給されている手当が含まれていない、等』『労働時間を1分単位ではなく、1時間単位で管理している』のような基本的な誤りがある会社も中小企業にはまだまだ存在しています。

加えて、【この業界独特の歩合給】という賃金の扱いです。

歩合給というのは他の賃金、例えば、時間給、職務給、職能給、管理者手当、のような賃金とは異なる計算方法で割増賃金を算出しなければなりません。

ご存知無い経営者や経理担当者は多くいらっしゃいます。

それから、『固定残業制度』の誤った運用があります。

ちなみに『固定残業制度』は一定期間実態調査を行い、平均的な時間外労働時間を把握して、固定残業時間=残業があってもなくても残業をしたとみなして割増賃金を支払う残業時間、を設定するように行政は指導をしています。

固定残業制度では、制度で定めた残業時間を超えた場合、超過時間分の残業代は追加で支払わなければなりません。

しかし、この超過分を支払っていないという会社も多くみられます。

このように、知識や情報が不足していることや顧問として契約している専門家に任せているから大丈夫、といったことにより悪気の無い未払状態が長年続いていると大ピンチを迎えることとなります。

なぜならば、未払賃金は社員等から請求された場合には【一定期間を遡って支払わなければならない】ということが法律で定められているからです。

2020年4月、コロナで大騒ぎしている最中に労働基準法の一部が改正されました。改正のポイントは、

1.賃金請求権の消滅時効期間の延長

改正前:2年間/改正後:5年間

2.賃金台帳などの記録の保存期間の延長

保存期間5年間、等の定め

3.付加金の請求期間の延長

請求期間5年間

※付加金:裁判所が命じる

のようになります。

如何ですか?

会社の財務状況によっては倒産する可能性だってありますよね。

例えば、最大60か月間、社員等1名に1か月あたり5000円の未払賃金があった場合は1名あたり30万円、対象となる社員等が30名だったら900万円+付加金、のようになるわけです。

悪気が無いことを社員等が理解してくれれば、社員等は退職しないで働き続けてくれるかも知れません。

しかし、多くのケースがある社員等が労基署へリーク、その者が退職届を会社へ提出、退職手続きをしていると労基署から調査が入り、実はリークがあったのですと言われる、退職届を提出した社員等と慌てて面談や話し合いをしようとすると、その人がリーダーとして社員等の多くが署名した未払賃金の支払を要求する文書が提示される(しかも、最近は退職手続代行業が頻繁に代理人として交渉のテーブルに着くことが常識化されている)といった展開です。

こうなってからでは会社は成すすべがありません。

法改正から1年半、いよいよ労働基準監督署が動きそうです。

例年、厚生労働省は10月11月に過重労働や過労死、パワハラをキーワードとしたイベントを展開しています。

そして、これらと関連する法制度についての調査を実施しています。

私の耳に入ってきた情報によると2021年度はハラスメント対策と未払賃金(調査の入口は労働時間管理を正しくしていますか?)の臨検でした。

コロナで大きなダメージを受けている業種は調査対象としにくいようです。

令和2年度の割増賃金の遡及支払状況調査結果によると、100万円以上の割増賃金の遡及支払、業種別企業数ワースト1位が製造業、2位が商業、3位が保健衛生業、4位が建設業、そして、ワースト5位が運輸交通業です。

これらワースト5位の業種には臨検が入る可能性が高いのです。

まずは、自社の賃金制度に本当に問題が無いのか?そして、うっかりも含み未払賃金が無いのか?を確認して下さい。

もしも、不安だという人は、SCT1%CLUB事務局までご相談下さい。

物流業界と何らしがらみの無い経験豊富な専門家がご支援させて頂きます。

 

最後に、10月31日の衆議院選挙、必ず投票しましょうね。

 

今月はここまで、次号もお楽しみに。

2022年からは、私のメルマガはオンマガ(オンデマンド、動画)マガジンになるかも知れません。

活字の長文をお読みになるのは苦手という人も多くいらっしゃいますし、やはり、時代ですかね、リクエストも多いです。

ご意見ご要望ご提案がございましたら、ぜひ、お聞かせ下さい。

 

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