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森田のワンポイント・コラム Vol.27

~年に1度は総点検、就業規則や規程類~

 

例年のことではありますが、年度末に向かうこの時期は『就業規則』や『関連規程』の見直しを依頼されることが多くなります。

なぜなのか?

その答えは、私が年末年始のご挨拶のタイミングで「新卒採用にチャレンジしませんか?」

或いは「来年度も新卒を採用しますか?」のように質問&確認をするから、のようです。

 

新卒採用には一定のルールがあります。

ルールのひとつ、求人開始のルールでは高校新卒は7月1日、専門・短大・大学新卒は3月1日が求人申込書(ハローワーク)の解禁日となっています。

新卒募集を行う企業はハローワークへ求人申込書の届出をすることが『若者雇用促進法』で義務付けられています。

 

求人申込書がハローワークの審査を通らないと新卒募集はできません。

ですから『3月1日解禁に間に合うように』&『応募者を獲得できるように』を目的に2月20日頃までを目途に求人申込書の下書きを行い、ハローワークインターネットサービスへ仮登録をして、ハローワークの審査を2月末までに終えるように指導をして来ました。

労働関連法等の改正施行や新設施行も4月1日、6月1日、10月1日、に行われることが多い(2022年度で言うと、改正女性活躍推進法、改正次世代育成支援対策推進法、改正労働施策総合推進法、社会保険加入義務対象事業者の拡大、最低賃金変更、など)ので、対応に抜かりが無いですか?と声を掛けるようにもしています。

この声掛けをきっかけに自社の求人申込書をチェックすることにより、

1.       就業規則や関連規程類、人事制度などの法令順守における課題の発見

2.       労務管理(時間外労働時間、年次有給休暇、社員等の年齢構成、社員等の男女比、離職防止対策、人材育成、等)における課題の発見

3.       自社の強みと弱みの可視化と強みのPR、弱みの改善における課題の発見

といった、経営改善に重要な【3つの発見】を得ることができます。

 

求人申込書のチェックで【3つの発見】ができる理由は、求人申込書の記載項目にあります。

求人申込書は、中途採用、新卒採用(大卒)、新卒採用(高卒)、の3種類に分かれており、記載項目が少しずつ異なりますが、若者(35歳以下)採用を目指すのであれば新卒採用(大卒)のフォーマットを使って下書きをしてみましょう。

※厚労省のサイトから求人申込書フォーマットをダウンロード、お手元にご用意頂くと、より分かりやすいです。

 

求人申込書の記載事項、大項目には『求人区分』『仕事内容』『賃金・手当』『労働時間』『保険・年金・定年等』『選考方法』『青少年雇用情報』があります。

『仕事内容』にもたくさんの中項目があるのですが、中でも『職種』『仕事内容』が重要です。

念のため、求人申込書による求人情報は職種ごとあるいは、就業場所ごと、に登録、公開します。

 

さて、みなさんは自社にどのような職種があり、その職種をどのように呼んでいますか?

また、職種における具体的な職務を一覧表のように可視化できるものとして整えていますか?

職種は労働条件通知書や雇用契約書にも記載します。

会社全体で統一した呼称であることは当然のこと、職種別の職務一覧により担当職務とその内容を社員等へ客観的に示すことが出来なければ、賃金の決定や査定も人材育成も出来ません。

例えば、職種『配送』職務『運転』『荷積』『荷降』、『運転』、『運転』という職務には運転できる車輛サイズにより職務等級が定められている、のような管理ができていることが重要です。

なぜならば、『働き方改革関連法』の同一労働同一賃金遵守義務を履行するためですね。

この例から『職種』『仕事の内容』という記載項目のチェックにより自社の法令順守への課題を発見できることがご理解頂けると思います。

大項目の『保険・年金・定年等』の中項目には『定年制』『再雇用制度』『勤務延長』などがあります。

昨年の法改正により現在は努力義務ですが、2025年4月からはすべての企業が65歳定年、定年廃止、70歳までの再雇用制度、のいずれかの制度導入が義務となります。

つまり、2024年の求人申込書からは、この記載項目に法改正後に対応した記載が必要になる=就業規則の見直しが必須となる=2023年度中に新規定案を決定しておく必要があることが発見できます。

物流事業者の実態は社員等の高年齢化が進んでおり、若手社員の採用に苦戦をしています。

同時に高年齢者により自動車運転事故や倉庫作業における転倒災害などが問題視されています。

そこで私は『配送職務』の定年廃止は現実的では無いから定年制度は職務別の規定に就業規則を見直しませんか!と助言をしています。

加えて、高年齢者のキャリアパスも用意しましょう!と提案しています。

規定文を作文することは容易いことですが、それが不利益変更になる場合には社員等の同意を得ることが必須です。

そして何より、新規定が経営にプラスに働く内容であるかどうかを判断することが求められます。

今のうちに、いや、毎年1回はこのようなチェックをしていれば、労務管理におけるコンプライアンス対応は計画的かつ継続的な活動としてクリアできると思いませんか?

はじめは、私と一緒にやってみましょうよ。

それから、このチェックをしていると労務管理用語を正しく理解することができるようになります。

例えば、前述の『再雇用制度』と『勤務延長』の違い、分かりますか?

『再雇用制度』は一旦、定年退職手続きをした上で、あらためて雇用するしくみ。

『勤務延長』は定年退職手続きをしないで雇用を継続するしくみ。

いずれのしくみでも賃金の決定を評価制度を運用し、客観的な評価により行っている会社にとっては大きな違いはありません。

しかし、そうでは無い会社にとっては大きな違いが生まれます。

『再雇用制度』の場合には、1年単位の嘱託社員契約を締結すること、そして、退職に伴う職務内容や勤務時間等の見直しを行い、それによる賃金の見直しを含む労働条件の変更も許されています。

『勤務延長』の場合には正当な理由=客観的な評価の結果等、が無ければ労働条件の変更が簡単ではありません。

この2つの違いを理解せずに規定を設けてしまうと後々に大きな問題を抱えることに成りかねません。

他にも大項目『賃金・手当』の中項目『賃金制度』にある小項目『月給』を正しく理解していない経営者が多くいます。

経営者だけではなく、ハローワークの担当者にも多くいるようです。

『月給制』では、遅刻早退欠勤の控除ができません。

正しくは就業規則等に控除の旨を記載していれば違法ではありませんが、それは、求職者へ労働条件通知を行う際に提示する、或いは、就業規則等を用いて説明をする義務を果たした場合に限り違法ではない、という解釈です。

求職者が誤解をしてしまうことが無いようにしなければなりません。

では、欠勤遅刻早退などを控除するしくみの会社の賃金形態はと言うと『日給月給制』になります。『月給制』には大きく3種類あり、その中のひとつが『日給月給制』です。

『月給制』の場合、極端なケースで言えば、毎月のように月2日くらい「体調不良」を理由に欠勤する社員がいても、休んだ2日分の賃金をその月の支給額から差し引くことができず、満額を支給しなければなりません。

この場合、就業規則に『減給』という規定があれば、制裁(=懲戒)のひとつとして、賃金を減らすことはできる可能性がありますが、これも、注意、指導、管理を徹底したが改善されない場合に限るといった慣例があり、労基署に相談しても簡単に減給することは認めてくれません。

 

如何ですか?

私と一緒に年1回は求人申込書の作成を通じて、自社の労務管理を見直ししてみませんか?

 

SCT1%CLUBでは、2022年4月から会員制度と提供サービスを刷新します。

新しい会員制度の【ロイヤルメンバー】は、四半期に一度、本日お話をしたようなコンプライアンスチェックとアドバイスを行うサービスが年会費の中でご利用可能となります。

50社限定となりますので、ご興味ございましたら事務局の太田までお問合せ下さい。

 

それでは、本号はここまで。

次号もお楽しみに。

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