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社労士の労務管理アドバイス Vol.16

今回より、労務管理に役立つ情報をお伝えするメンバーに参加する事になった社会保険労務士の伊藤です。

社員の「のびしろ」を伸ばし会社の業績を伸ばすお手伝いをしているので、実際に相談を受けた労務トラブルの事例をもとに皆さんの会社がよりレベルアップしていくためのヒントを提供していけたら幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

今回のテーマ

「有給休暇取得を申請してきたパート社員への対応」

 

相談内容

A社には10名ほどのパート社員がいます。

先日、半年前に入社したパート社員より、子供の学校行事に参加したいので、有給休暇を取得したいとの相談があった。

これまでは、パート社員には、本人の意向を最大限配慮してシフトを策定していたため、パート社員に有給休暇を付与していなかった。

会社経営が厳しいさなか、人件費の増加を避けたいのですが、どうしても付与しなければならないのでしょうか?

 

アドバイス

パートやアルバイトでも、条件を満たせば年次有給休暇を取得できます。

今回のケースは、有給休暇の取得を申し出たパート社員が6か月以上継続勤務しており、本人の本来働くべく日(全労働日)の8割以上出勤していたので、有給休暇を与えなければなりません。

 

ただし、週の所定労働時間が30時間未満でかつ、所定労働日数が週4日以下の場合は、下表のように労働日数に応じて有給休暇を付与する方式(比例付与方式)となるので、正社員よりも付与日数は少なくなります。

また、1日の所定労働時間に応じて、通常通り働いた場合に支払われる場合の1日の賃金を支払う事になります。

ここで、押さえておきたいのは、パート社員の入社時に雇用条件を明確に伝え、認識のギャップが生じないよう対話の場を持つことです。

説明を端折ったり、適当に済ませない事です。

お互いに納得した、その証として、雇用契約書や労働条件通知書を交付するのです。

労働紛争になるケースの多くは、交付していたとしても、一方的に書面を渡しているだけ等、会社側の説明不足によるものが散見されます。

 

会社の業績を伸ばす第一歩は、働く社員との信頼関係づくりです。

今回のケースでは、法律で有給休暇を付与する事が定められているので付与しないという選択肢はありません。

しかし、仕方なく有給を付与するのではなく、有給付与する事を前提に、今までのやり方を変えるきっかけと捉える事も出来ます。

たとえ、労働時間が減ったとしても生産性が上がれば、それをカバーする事ができるからです。

いきなり、大きなことを始めなくても、IT化や個々の社員の特性の活かし方で業務効率が上がります。

例えば、決められたことをきっちりとこなしていく事が得意な人には、入力作業や進行管理を任せることで、ミスなく物事が予定通りに進行します。

また、目的を明確にすることで、なぜそれをしなければならないのかの前提が揃い、仕事を任せる事ができます。

社員が自分で判断できるようになるので、無駄な作業や勘違いを防止する事ができます。

それぞれの役割の明確化や仕事の進め方そのものを抜本的に見直すチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか?

 

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