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社労士の労務管理アドバイス Vol.18

皆さん、こんにちは。社会保険労務士の濱﨑です。

今回は、調査結果のお話をしたいと思います。

2019年4月から時間外労働の上限規制の法改正がなされ、2020年4月から一部の例外を除き原則すべての事業者に導入されています。一部の例外の中に、運送業界が含まれていることは皆さんもご存じのとおりです。

運送業界における時間外労働の上限規制の例外は、2024年3月31日に終了するため、現在、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(以下、「委員会」という)では、さまざまな議論が続けられています。

先般、この委員会で改善基準告示の見直しに向けた自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果の報告が行われました。興味深い結果でしたので、皆さんと共有したいと思います。

 

この調査の面白い点は、事業者と自動車運転者の双方に同じ項目を調査しているところです。いくつかの項目について、事業者と自動車運転者の結果を列挙してみます。

(以下、「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」の貨物自動車輸送(トラック)からの抜粋)

① 1日の拘束時間の実態

→繁忙期で1日13時間以下の割合 事業者調査62.8%、自動車運転者調査36.8%

② 適切と思う1日の拘束時間数について

→事業者調査 1日13時間超が適切と思う割合 67.8%

自動車運転者調査 1日13時間以下が適切と思う割合 67.8%

③ 1ヵ月の拘束時間の実態

→275時間未満であった割合 事業者56.4% 自動車運転者42.6%

④ 適切と思う1ヵ月の拘束時間数について

→275時間未満が適切と思う割合 事業者5.3% 自動車運転者33.6%

⑤ 1日の休息時間の実態 最も忙しい日の休息時間が8時間以上の割合 71.3%

適切と思う1日の休息時間 8時間以上の休息が適切と思う割合 68.2%

⑥ 連続運転の実態

→連続運転が4時間以下の割合 事業者92.1% 自動車運転者64.4%

⑦ 適切と思う連続運転時間

→4時間以下が適切と思う割合 事業者7.9% 自動車運転者30.7%

→4時間超が適切と思う割合  事業者86.8% 自動車運転者65.6%

 

さて、この結果をご覧になってどのように感じたでしょうか?

事業者の意識と実際に運転をしている運転者の意識の差というのも興味深いですね。また、適切と思う項目から、運転者の意識を感じ取ることができます。実際に皆さんの会社の従業員と全く同じではないかもしれませんが、参考になるでしょう。

このコロナ禍で状況はずいぶん変わっているとは思いますが、時間外の上限規制の例外が終わるまで約3年で待ってはくれません。今から、状況に適用できるよう対策を講じていっていただければと思います。

 

ご参考になれば幸いです。

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